Wizardry Online * 無法地帯 *

 Wizardryな日常を綴ったブログです。

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 いざ行かん 無法の荒野へ

2017年05月11日

MJNN 真打ち登場

Amazonで頼んでいたMJNN、届いちゃったぜ、出会っちゃったぜ!

This is fate! WOW!!



terh.png

ギャアアアアアアアアアアアアン!!



IMG_20170511_191145.jpg

デデン!!


我らがダイヤさnキャアアアかわいいいいいいいいい












キャアアアアアアアア

FOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO



かわいい!!

ルビィちゃんのときも衝撃だったけどこのダイヤさんはとんでもなくかわいいぞ!!

ムフ……ムフフ///

ハア

ハア///



いや、落ち着け、おやびんよ。硬派で通してきた無法地帯にオッサンが奇声を上げなが痛々しい姿を垂れ流すなどあってはならぬ。

ちゃあんと真面目なレビューを行おうではないか。



IMG_20170511_233756.jpg

個体差なのかもしれないが、顔の形がとても端正。かわいい。

特にアゴの周りがとても丁寧でかわいい。(かわいい)

他の寝そべりは綿の詰め方が適当でデコボコした顔面だが、ダイヤさんはちゃんと顔の形になっている。かわいい。

かわいい。



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黒髪と制服の灰色がマッチしており他の寝そべりよりも見栄えがよい。かわいい。

かわいい。



IMG_20170511_214757.jpg

3人の妹に囲まれご満悦のダイヤさん。かわいい。

しかしフフ……いよいよ置く場所に困り始めてきたぜ。

ぬいぐるみ4体と一緒に寝るオッサン……。ちょっと笑えないくらいキモいが仕方がない。

一度寝そべりの沼に足を捕られたが最後、ズブズブと深みにはまっていくしかないのだ。





ウボアー
posted by おやびん at 23:53| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記

2017年05月08日

救世の剣 その11

戦闘開始

海賊×12

ガリアンガード

「やっぱり海賊だよ!」

「まあ今さら山賊が出てきてもかえって不自然だからな……。」

敵の正体はともかく、戦闘態勢を整えなくてはならない。

見たところ数は多いが、魔法を使ってくるようなタイプではないと思われる。

結局のところ、やることは一つ。前線で壁を作り、後方から援護を入れていく戦法しかない。

プリエがポーバとオスロの援護を受け、一気に突っ込む。

「さあ、やろうか!戦う度胸がある奴から、かかってこい!」コノ ハゲ!

『このガキ、一人で俺達の前に立つつもりか?』

『ヤロウ舐めやがって……!やっちまえ!!』

精一杯の虚勢を張り、海賊たちの注意を引きつける。

しかしながら、打撃で圧倒できるような力は僧侶のプリエにはない。

このパーティは、とにかく3人の連携が全てなのだ。

そしてそのうち自分の役割は、仲間の盾になること。それだけである。

ウオオオオ ブッコロセー ヒャッハー

海賊たちの武骨な剣による攻撃が、雨あられとプリエに向かって降り注ぐ。

それを、ただひたすら耐え忍ぶプリエ。打撃防御によってほとんどの攻撃は受け流しているが、さすがにノーダメージというわけにはいかない。じわじわと、確実に体力を奪われていく。

「ッッッ……!」

先の戦闘で戦ったガリアンレイダーたちと一撃の重さはそれほど変わらないが、とにかく手数が多い。(レイダー1回 ガード2回)

1点、2点と少しずつダメージが蓄積する。プリエHP6/9

このペースだとあまり耐えられそうにないが、倒れずに立ってさえいればチャンスを繋ぐことができる。

当然、ムーノとフィーネはこの間に魔法の詠唱を行っていた。

『LI-OS 我が念 火となり敵を討て』 

以前感じたより数段強いエネルギーの畝(うね)りが、前線に固まっていた海賊たちに流れ込む。

魔法を受けた者達は皆一様に頭を抱え、苦しみ始めた。

しかもその様子がおかしい。

目は虚ろで足元もおぼつかず、フラフラとして今にも倒れそうだ。

「ナイス援護、ムーノ!」

「フ……この俺様のサイキックパワァを受けたものは、その精神を蝕まれやがて崩壊するのだ。」

「まるっきり悪役みたいな能力ね。」

続いてフィーネが魔法を唱える。ホールの右側にいた海賊たちが一瞬にして高熱の炎に包まれた。

これで正面と右側が完全に封鎖された形となった。海賊から見れば左側を突破するしかないが、右側のリクレアから逃れるため人数が集中し、渋滞を起こしている。

「ようし、今だ!」

怯んだ敵に対し、フレイルを振り回すプリエ。海賊の脇腹めがけて振った分銅の空気を切り裂く音が、すぐにパキパキという骨を砕く音に変わる。

まともに打撃を受けた海賊は、声を上げる暇もなく昏倒した。



『DI-OS 生命に 力を』

激しい乱戦が延々と続いているが、海賊の数は着実に減っていった。

回復魔法を挟み、一呼吸置く。

残りは4人。2人はプリエに張り付いているが、もう2人は回り込もうと移動している。

「くっ、回復の隙に……!」

「あっやべっ、こっちくるぞ。」

プリエもカバーに行こうとするが距離を開けられているため止めることができない。

海賊たちの移動する先には、フィーネがいた。

『ようし、捉えた!』

『小僧の邪魔さえなければ簡単よ!いくぜ!』

これまでの鬱憤を晴らすように、海賊の巨体がフィーネに向かって踊りかかった。

位置は既にホールの端。逃げ場がない。

ボゴォ!

「!?」

仲間の死を覚悟したプリエとムーノだったが、想像とは違う結果が起きていた。

襲いかかった海賊が、ゆっくりと崩れ落ちる。

さらにもう一人の海賊がカトラスを振るうが、華麗な身のこなしで避けていく。

まるで白兵戦に戦い慣れているかのように杖を見事に操り、海賊の急所へ打撃を加えていくフィーネ。

「……どうしたの?あと一歩なんだから油断しないで仕留めなさいよね。」

見とれていたところを、その言葉でハッと我に返る二人。

プリエのフレイルとムーノのスリングで前線の海賊は倒れ、そして残る一人も……。

「やぁッ!」

フィーネの杖で打ち倒された。




「知らなかったな〜、フィーネがあんなに強いなんて!」ア、セッキンセンノコトダヨ

「前はファイターでもやってたのか?それならもっと早く言ってくれればよかったのによ〜。」

戦闘後、フィーネの体術に興味津々といった様子の二人。しかし当のフィーネは一言答えただけで、静かに言葉を切った。

「昔、ちょっとね。」

二人は不満げにフィーネを見つめるが、それ以上のことを話そうとはしなかった。

「女には色々と秘密があるの。」

おどけたように話すその様子は、先程と明らかに雰囲気が違う。隠すというよりは触れてほしくない、というような意味合いだろうか。

これで話はおしまい、とばかりに視線を外し杖に付いた返り血を拭う。

訝しげに見つめる二人を尻目に手早く戦闘の後処理を行うと、二階への階段に向かって歩き始めた。

「あとは頭目だけかしら?はやく片付けるわよ。」

「あ、ちょっと待ってよー!」

慌てて追いかけるプリエとムーノ。

今回の依頼も大詰めだというのに少し集中力を散らしてしまったが、殺伐とした空気が和んだのは確かである。

これもフィーネの狙いなのだろうか?だとしたら、本当に戦い慣れしているのかもしれない。

「女の子の謎って、武器だよね……。」ヒソヒソ

「え!?あ、ああ、そうだな?武器での戦闘もできるみたいだし。」

またひとつ、気になることが増えたプリエだった。



「たぶんここね……。」

ふいに、前方を歩いていたフィーネが立ち止まる。

視線を気取られたのかと、プリエは一瞬ビクッと体が縮まった。

フィーネが言うところは二階へ上がって真正面。城の中央部と思しき広間に当たる場所だ。

玉座の間というのか謁見の間というのか、とにかく「よくある王様の間」である。

確かに、中に人の気配があるようだ。

「やれやれ……バカと煙は高いところへってな、よく言ったもんだな。」

「……ムーノがそれ言う?」

ホールで大立ち回りをしたばかりで、城内にいる人間には何が起こっているのか知れているだろう。今更コソコソとする必要もない。

プリエは思い切って中へ入っていった。

王の間には、玉座とその周辺に座る男たちが数人。

扉はおろか壁も穴だらけといった有様のため、急にスッと入ってきた3人に面食らった様相である。

男たちは皆一様に派手な格好をしており、先の海賊たちより明らかに上の立場のようだ。

「ほら、さっきみたいに格好良く言ってやって。」

「の、残ったのはお前たちだけだ!神妙にしろ!」

せっかく格好良くと言われたのだが、ついつい出だしを噛んでしまう。

別に戦闘前だから緊張しているわけではないと言い訳したいプリエだったが、締まらないのでその言葉はそのまま飲み込んだ。

ぬぅ、と大きな体を揺すって男たちが立ち上がる。今までの海賊よりさらに体格がよく、力も強そうだ。

『あン?こんなガキに下の野郎どもはやられたのか?』

『頭数いないと不便なんだよな〜……ったくよ〜。』

それぞれが勝手なことをぼやきながら、ゆっくりと戦闘態勢に入る。各々が持つ蛮刀はかなり巨大で、人はおろか牛馬でさえ両断できそうな佇まいだ。

プリエから見れば大人と子供……いや巨人を相手にするかのような感覚だろう。

しかし恐れるような素振りも見せず、いつものように自分から間合いを詰めていく。

部屋の中央あたりまで進み、相手の迫力に気圧されしないよう、海賊たちを見上げるようにしっかりと睨み返した。

『大海じゃあ、半端に自信を持ってるやつが一番命を落としやすいんだァ……。お前ぇらみたいななあ!』

「自信か、それは確かにね。でも……。信頼は、荒波でも砕けないよ!」



お互いの武器を打ち合わせる激しい金属音が、城内に響き渡った。





解説


ガリアンガード

gg.png

出典:Legacy of Llylgamyn

ちょっと強い海賊。ハゲ。原作では逃げまくるのでむしろレイダーより弱い。TRPGでは低レベル帯のくせに二回攻撃がやっかい。シチュエーション的には意味不明だが、このレベルにはたくさんの種類の海賊がいるので、序盤ではどうしても敵として出てきてしまう。ハゲ。



リオス

範囲1×3 1D10の無属性ダメージ。信仰心5倍チェックで失敗時発狂。
レベル2とは思えないほど高性能。魔法の種類は少ないが、やはり超能力呪文は強烈。
posted by おやびん at 15:13| Comment(0) | TrackBack(0) | TRPG

2017年05月02日

救世の剣 その10

目的の古城は、背の高い草原を抜けた先にそびえ立っていた。

平城(ひらじろ)とはいえ周囲より数メートル高く石垣が組まれ、間近で見るとさらに迫力がある。

周りは堀で囲まれているが、すでにその役目は過去のものであり水は流れていない。

侵入口はないかと目を凝らすと、城壁のあちらこちらに穴が空いているのがわかる。中へ入るのに苦労はなさそうだ。

ただ、表面の大部分は蔦で覆われ中の様子を伺い知ることはできない。

「どうする?堀ん中を通っていくか?」

「ダメとは言えないけど……。空堀を越える時に見つかる可能性は大ね。」

ここで考えられる一番面倒なケースは、城の中へ入る前に見つかってしまうことだ。中へ入った後は見つかってもいいが、外で見つかってしまうと矢や礫の的になるだけでなく(罠などの)敵の備えを食らってしまう場合も考えられる。

堀を通ったり、城門から堂々と入ろうとするとリスクが大きいのは一目瞭然であった。なにか足がかりはないかと、3人は古城のぐるり反対側へ移動してみる。

一番外側の城壁は大まかな形をしっかり残しており、左右対称の造りになっていた。壁の崩れ方に違いはあるものの、元の姿は同じである。

宵のまだ生暖かい風に吹かれながら、皆思案を巡らせる。大人数のいるところへ殴り込むという緊張感もあり、じっとしていても汗が滲んできた。

プリエは手の甲で汗を拭いながら、正面突破もやむなしかと思い始めた。多少無理をしても前衛の自分さえ頑張ればなんとかなる、という考えだった。

しかしそれでは前回までの考え方と変わらない。自己犠牲などという美しいものではなく、傲慢にも近い身勝手さである。

チームのために犠牲になるのは構わないが、自分のプライドのためだけに死ぬのは愚かだ。……少なくとも仲間が健在であるうちは。

頭の中で思案を繰り返し、ブンブンと頭を振る。

(それじゃ今までと変わらない!)

敵に勝つためには、まず己の心に勝たなくてはならないのだ。はやる気持ちを抑えつつ、仲間たちの方へ目を向ける。

「……。」

フィーネは相変わらず難しそうな顔をしているが、ムーノの様子は少し違うようだ。

もともと大きくもない目をじっと凝らし、何かを見つめている。

この暗い宵闇の中で見えるものがあるのだろうか?

「ムーノ、何か見つけたの?」

「ああ、堀の右側に横穴みたいのがある。鉄柵の跡らしきものもついてるから、城からの下水道なのかもな。見張りはたまーに上の鋸壁あたりから顔を出してるが、あまり真剣にやってないから静かに近づけば問題ないだろう。」

「え?!すごっ!そんなにわかるの?全然見えないけど……。」

「そりゃあ、このムーノさんのサイキックパワァをつk「ノームは暗いところでもモノが見えるのよ。大昔は地中で暮らしていたっていう名残ね。」

ムーノ会心のドヤ顔を、フィーネの冷酷な一言が打ち砕いた。



「お〜、すごい!ほんとに中まで繋がってるみたいだね!」

「わかってるから、静かにしろよ、静かに!」

興奮してはしゃぐプリエの声が、横穴の中を駆け巡り大きく響く。

ムーノの見つけた横穴は、やはり下水道の跡だったようだ。中に入っていくと、まっすぐに城の内部へと道筋が繋がっていた。

古い時代の建造物とはいえ、基礎の石組みがしっかりしているため風雨にさらされる外部より元の姿を維持している。

上手く侵入できたからなのか、先程の戦闘でなのかわからないが、プリエのテンションが高い。

早足で進んでいくその足音も、この地下道の中ではよく響く。ファルミアの商店で買ったサンダルが、プリエのスキップにあわせてカチャカチャと不愉快な音を立てている。

歩哨が居そうな雰囲気ではないが、万が一に前後から敵が来たらと思うと恐ろしい場所ではある。そんなことを想像するムーノは、敵と鉢合わせしないかと気が気ではない。

そうこうしながら進めるだけ奥へ行くと、崩れた石組みが道を塞いでいた。一見して、これ以上進むことはできそうにないが……。

「ちぇっ、崩れちゃってるか〜。残念!」

「ちょっと、なんとかならないの?超能力で石を動かすとか。」

「簡単に言うなよ。俺をスタンド使いか何かと勘違いしてないか?」

ウィザードリィ (J) 201704222304155.bmp

「ねえ、下水ってことはさ、やっぱり上とつながってるんだよね?」

「もちろん、使った水を捨てるためのもんだからな。」

「じゃあここと出入りするための通用口的なものもあるはずだよね。」

「ってことは、もしかしてこの崩落って……。」

「そうだよ!ちょっと石をどかしてみよう。」

上の方から石を掴んで、引っ張り出す。30cmほどの岩石が不規則に積み重なっているが、比較的隙間が大きいためなんとか動かすことができそうだ。

なるべく体力を使わないように、バケツリレーで落盤を取り除いていく。

徐々に石がなくなっていくにつれ、少しずつ変化が見られ始めた。

「……おっ!」

「なんか涼しくなってきたな。」

「このへんね。」

フィーネが蝋燭の火を進行方向へ掲げると、ゆらゆらと大きく揺れ始めた。

「空気が流れているってことは、この先に空間があるんだね。」

「よし、もう少しだな。さっさと片付けようぜ。」

手早く石をどけていくと、上方に人一人が通れるほどの空間が現れた。足元を崩さないように慎重に登っていく。

その先には、小さな隙間から僅かな光が漏れている様子が見えた。

どうやら蓋のようなもので閉じられているようだ。

そっと押してみるがびくともしない。使われていない様子もあり、錆びついてしまっているのかもしれない。

「おい、もっと力入れて押さないとダメじゃねえのか。」ヒソヒソ

「そうだね……。」ドン! ドン!

「あ、バカ!敵に見つかる!静かにやれ静かに!」

「静かにって言われても、開かないんだもん!」ガンガン

「……何やってんの。この体勢疲れるんだけど、早くしてくれる?」

「よし、じゃあせーので押すぞ。……せーの!」

「えいっ!」

ドガッ

ゴワンゴワン!!

二人が力を入れてマンホールを押すと、蓋の外れる威勢のいい音とともに勢い良く宙を舞い派手な音を立てて床に着地しつつさらに回転しながら騒音を撒き散らすというウルトラCを披露してくれた。

まるで二階の階段から鍋を落としたかのような喧しさである。

「バカヤローなんでそんな強く押してんだ!!」

「ムーノが力入れろって言ったんでしょ!!」

「あーもう大声出さないでよ!敵に聞かれてたらどうするの!」

『……!??』

「あ、はは……こ、こんばんわ。」

床に雑魚寝していた男たちは文字通り寝耳に水といった様子だったが、状況を飲み込むとすぐさま襲い掛かってきた。



戦闘開始

海賊×8

「なんでこんな山のど真ん中に海賊がいるんだよ!」

「こっちが聞きたいよ……。」

知恵3倍チェックには全員失敗。

「バンダナにジャケット、半ズボン。腰にはカトラス。海賊、だね。どこからどう見ても。お手本のような海賊だよ。」

「これめっちゃ海の男じゃん。一体何しにこんな山の中まで……。」

まずはお約束のポーバとオスロの詠唱。プリエは前に出て待機。

オオウナバラデキタエラレタ オレタチノチカラ ミセテヤレー!

カコメー ウオオオ

数はこちらの倍以上。比較的部屋の隅のほうにいるとはいえ、後衛の二人が袋叩きに遭うことは避けたい。

「踏ん張りどころかな。……いや、そんなの毎回か。」

「余裕ぶってる暇ねえぞ。出し惜しみすんなよ。」

「フフッ、そうだね。」

「ほら、集中しなさい。」

前に立つプリエに向かい、8人の海賊が入れ替わり立ち替わりカトラスを振り回してくる。

しかしそれらの剣戟はことごとく受けられ、流され、防具の下の体まで届くことはない。

(あ……打撃防御のレベル、上げた?)

これには敵も味方も驚愕である。しかし、だからといって安心できないことは苦い経験から骨身に染みている。

実際のところ、この防御もギリギリのところだ。もしダメージが1点ずつでも入っていたら致命傷になりかねない。(最大HP9)

極端な話、クリティカルを食らったら即死する危険すらある。プリエの頭の中に嫌な思い出が蘇ってきた。

呼吸を整え、心を落ち着かせ、構えを取り直す。

「無謀は欲だが、勇気は希望だよ。これは……勇気だ。」



結果、海賊たちの攻撃はプリエのガードをこじ開けるには至らず、フィーネの魔法によって殲滅することができた。

「結果オーライってとこか?勝てたから良かったけど、少し無茶したな。」

「無茶っていうか無茶苦茶ね。でも確かに、勝てれば問題はないわ。今回は逃さないことが大事だし。」

改めて部屋の中を見回すと、散らかった酒瓶や樽があちらこちらに転がり古城の雰囲気を台無しにしていた。

ここは元々、地下の倉庫といったところだろうか。野党たちは寒さを凌ぐために居住スペースとして使っていたようだ。

しかし今は部屋の中は高温の炎で耐え難い暑さと、焦げ肉の焼ける嫌な匂いが充満している。

窓もないためこのままでは酸欠の危険もある。息苦しさをなんとか堪えつつ、一行は急いで階上への昇降手段を探す。

すると幸運にも、部屋の角に螺旋状の階段が見つかった。

「さっ、行こう。城内での騒ぎなら、ホームの安心感ってのがあるから敵も逃げずにかかってくるだろうし。」

「ほんと戦闘狂だなお前……。最近キャラ変わったよな?」

「人聞きの悪いこと言わないでよ!」

そう答えつつも、少なからず自覚があることにプリエは気づいていた。

ムーノが言うように戦闘が好きなわけではないが、やりがいを大きく感じているのは確かだ。

……いや、それも言い訳なのかもしれない。もしかしたら戦うこと自体が好きな一面もあるのかも、と考えてしまう。

大義名分があれば相手を倒せる。しかしそれは、果たして正義か?

自分の愉しみのためにハンティングをしていることへの理由付けに過ぎないのではないだろうか?

(本音と建前、か……。どっちがそうなるのかな。)

自問するが、無論、答えはまだ出なかった。



螺旋階段を登ると、やや開けた場所に出た。位置関係から察するに、ここは一階正面ホールの袖といったところだろうか。

城の中は意外と崩落が少なく、大人数が居られるだけのスペースは十分にある。

3人がそっとホールへ近づこうとすると、上の階からドカドカとたくさんの足音が聞こえてきた。

隠れようにも影になるような所はなく、戻るという選択肢も地下があの状態では考えたくはない。

そうこうしているうちに二階から大勢の野党たちがホールへと降りてきた。躊躇はしたが、このまま迎え撃つより他はないようだ。

ナンダナンダ カジカ? テキシュウカ?

プリエ達に気づいた野党たちは、事態を把握するとサッと表情を変えて身構えた。

見たところ10人以上はいるだろう。先程の敵の倍近い数に、3人は内心緊張を憶える。

広いホールを挟んで、お互いは向かい合った。

……。

一瞬、ホールを静寂が支配する。

数秒してプリエは意を決し、ゆっくりと二人の前に出た。異様なまでに静まりかえったホールに、コツコツと石床を叩く靴音が響き渡る。

たくさんの野党たちの目が、一斉にプリエへと向けられた。緊張に体が圧されるようだが、ここで退くわけにはいかない。

後ろの二人から数メートル進んだところで、いったん足を止め睨み返す。

「こういう注目の浴び方も、悪くないかな。」

冗談を言って、なんとか平静を装う。本人は気休めのつもりだが、実際のところ緊張を解くためにはこれも立派な技術の一つである。

それを後押しするように、じゃら……とフレイルの鎖が音を出し自己を主張した。

握る手にも力がこもる。

前に出てきたプリエを見て、野党の一人が口を開く。

『どうした坊っちゃん。道にでも迷ったか?』ドッ ワハハハ

『残念だったな。ここに来た以上、タダじゃ帰せねえんだ。』

「僕達もさ。手ぶらで帰るわけにはいかなくてね。」

『ほ〜、おもしれえことぬかしてくれるじゃないの。俺達から何を盗ろうってんだ?』

『こちとら盗るのが専門なんでな。盗られるのはお断りってもんだ。』ワハハハ

「わかった……そこから先は、天上で神に懺悔するんだなッッ!!」

『なら二度と浮かばねえよう、海の底へ沈めてやるぜぇ!!』



柄にもなく荒い言葉を使い、プリエは猛然と敵の正面へ駆け出していった。





解説



暗いところでもモノが見える

技能『暗視』。レベル2まで。レベル1で夜間程度の視覚が、レベル2で完全な闇の中でも見えるようになる。
地下生活がどうのというとドワーフの特技なんじゃないかなと思うが、真WIZではドワ、ノーム、エルフがデフォで持っているのでこれにならった。便利そうだがダークゾーン(まっくらやみだ!のところ)は魔法的な視覚の無効化なので暗視できないため冒険で役立つことは少ない。



サンダル

サンダル.png

ファミマで買ったサンダルに見えた。
日常生活で使うサンダルではない。靴の外からはめる補強の枠みたいなもの。
雪山登山に使うアイゼンに似てる(気がする)。



海賊

ガリアンレイダー.png

出典:Legacy of Llylgamyn

山の中なのに海賊とエンカウントするのは意味不明すぎるが、ダイス目は絶対なのである。
海賊の中でも一番の下っ端。よわい。
でも最大ダメージ(9)でクリティカルしたら18点。打撃防御6(当時)でも即死。いつでも即死できる緊張感はWIZっぽさが出てていいとおもいます。(小並)
posted by おやびん at 09:27| Comment(0) | TrackBack(0) | TRPG

2017年04月21日

救世の剣 その9

「野党の討伐?」

「そうだ。お前ぇらには少し荷が重いかもしれねえが、この際文句は言わねえだろうな?」

マスターのドスの利いた声がプリエたち3人に突き刺さる。

はは……とプリエが苦笑いを浮かべて後ろの二人を見やる。ムーノは目線を逸らし、フィーネは「ふんっ」と顔を背けた。

「場所は北西の村マレスタだ。最近村はずれの古城に賊が住み着いたらしくてな。大きな被害が出る前に排除してほしいそうだ。」

「ヒェッ……説明も動機も乱暴だこと。」

茶化すムーノをジロリとマスターが睨む。頼むから黙っていてくれ、とプリエは眉間に皺を寄せながら思った。

「とにかく数が多いらしい。まだこそ泥程度で大きな動きは見せていないが、水か食いモンが減ってきたらすぐに村へ襲いかかるだろうな。」

「た、たくさんって、どれくらいですかね……。」

「さあな。ま、群れてるって時点でトーシロの集まりだ。逃さず獲ってこいよ。」

漠然とした内容と前情報に3人はため息を付くしかなかった。かなりの無茶を言われているが、言い返すことはできない。

しかし村を救うという大義もあり、やりごたえは十二分にある。懲罰ミッションとはいえ、プリエはまた3人で冒険できることに胸が高鳴った。



例の一件で酒場の入口側、全体の約1/3が吹き飛んでしまった。

早朝だったためか、当事者以外に負傷者は出なかったのが不幸中の幸いである。

爆発の直後、駆けつけたマスターに死ぬほど怒られたのは言うまでもない。

プリエは直すことを申し出たのだが、すごい勢いで却下されてしまった。自分の店の形をこれ以上変えられたくないそうだ。……悔しいが懸命な判断だろう。

冒険者なのだから冒険でツケを返せということらしい。……現場が落ち着いてから、マスターは依頼を一つ持ってきた。

多数の盗賊が相手というもので、上級の冒険者には旨味が少なく、初級の冒険者にはリスクだけが大きい。すなわち誰もやりたがらない仕事だ。

とはいえ近隣の村である以上、当然ファルミアの冒険者ギルドとも付き合いはあり無下に断ることもできずにいたようだ。

そこへ今回の騒動で、ちょうど3人に白羽の矢が立ってしまったというわけである。

依頼料は生活費ぶん以外タダ。現地で見つけたものは好きにしていい、との話だが盗賊の私物なぞ元は盗品というのが理屈。持ち主がわかればそれすらも返却せねばなるまい。

渋みの極地といった具合だが、これで今回の騒動をチャラにしてもらえるのなら悪くはないかもしれない。

なにせリルガミンやトレボー王城での魔法の規制といったら……。いや、この話はやめておこう。



旅の準備を整え、3人はさっそくマレスタへと向かった。

ファルミアからは徒歩で4時間ほどだ。

話にあった古城というのは、その昔ファルミア地方の中心だったそうだ。とある時代に戦争で焼け落ち放棄されて以降、誰の手にも渡ることなくひっそりと朽ちるに任されている。城というのは使える状態にするための維持費がかかりすぎるのが大きな欠点だ。

城下町などは残っておらず現在の村も新しい時代になってから移住者により作られたもので、所縁があるわけではない。

村の入口からその古城ははっきりと見えた。距離にすると4〜5kmほどだろうか。半ば崩れてはいるが大人3人分はあろうかという大きな城壁を構え、本城部分も未だ健在である。

のどかな村に対し、かなり立派な城だ。多数の野党が潜伏するにはうってつけだろう。

敵の規模は伺い知ることはできないが、村に攻め込まれる前になんとかしなくてはならない。

遠目に古城を見ながら、3人は攻略する算段を頭の中でかき回し始めた。

ともかく、まずは情報を集めることが先決だ。村には簡単な囲いや柵があるものの、城壁や堀といった本格的な防御設備はない。

急造したと思われる物見櫓のようなものが立っているが、見張りがいるわけでもなく機能しているのかは疑問だ。

周囲の様子を観察しつつ、依頼主の村長の家を尋ねる。

ファルミアの平均的な民家とさほど変わらない大きさだろうか。村というだけあって、盟主の家といえど質素な作りである。

「ごめんください!ファルミアから派遣された冒険者です。依頼を頂き、伺いました。」

応対する村長から、情報を受け取る。しかしその口から語られたのは、酒場のマスターから聞いた内容とほとんど変わらないものだった。こういうところは、田舎らしい大雑把さと言うべきか。

「……なんだろう。この村が狙いなんじゃなくて、もっと大きな仕事のために潜伏してる感じなのかな?」

「さあな。まあ本格的に村を襲撃したら正規軍が動くことになるかもしれないし、そうなんじゃねえの?」

「だとすると、組織的なアジトのひとつって可能性もあるわね。定期的に移動しているのかも……。」

「に、逃げられる前に制圧しなきゃだね。」

「相変わらずやる気だなあ、お前って。」

「ヘヘ……胸中の熱いパッションだよ!」

「もうすぐ日が沈むわ。暗くなったら乗り込みましょう。」



城へは村人も近づかないのだろう。伸び放題になっている茅が繁茂する野原が行く手を阻んでいた。

道らしきものはなく、目的地が近くに見えているはずだのだがなかなか進むことができない。

ガサガサ「これって……昼でもあまり変わらなかったかもね。」

ガサガサ「うるさいわね!作戦ミスとでも言いたいの?」

ガサガサ「同じってだけだ。気にすんな。」

人の丈くらいの高さがある茅のせいで、周囲の様子はまったくわからない。

お互いの距離が少し離れただけで、味方同士の位置も掴めなくなる。

風が野原を撫でる音と、3人が草をかき分ける音とでガサガサという乾いた音が交差し、不協和音を奏でる。

「……。」

「どうかした?」

「何かいるな。気配が増えてる。」

不意に、ムーノが足を止め、耳をすませる。フィーネもそれにならって停止する。

「そう言われれば……私たち以外のガサガサもあるような……。」

「忍者は敵に備えて落ち葉を通路に撒いて足音を察知するっていうからな。動くときの音ってのは大事なんだ。」

「そこは超能力とかじゃないのね……。」

「なんでがっかりすんだよ!されるんだよ!」

「大きい声出さないでよ、まったく。敵に気づかれるわ。」

「んん……そこだ曲者!SSS!!」

「いてーーーっ!」

ムーノの放った弾丸は、前方を進んでいたプリエの後頭部に直撃した。

ある意味、的確に他者の位置を捉えたとも言える。

「ちょっとムーノ!戦う前から死ぬとこだったよ!よく確認してから撃ってよね、危ないから……。」

『……。』

「あーメンゴメンゴ……って、おい。」

「話聞いてんの?飛び道具は特に注意してっていつも(ボカッ)……ぁ痛あああああ!?」

「ソレは俺じゃねえええええ!」



戦闘開始

みすぼらしい男×5

後衛二人は判定成功。

ブッシュワッカー×5

「お前はイケメンとキモメンの区別もつかんのか!」

「……神よ、この者達に救いの手を与え給え。」

(救いようが無い気がするわ……。)

ブッシュワッカー……追い剥ぎである。意外といい装備をしており革鎧に円盾、短剣といった武装で身を固めている。

少なくとも村の者ではない。有無を言わさず襲いかかってきた時点で、野党集団の構成員と見て間違いないだろう。

開幕はムーノのポーバ詠唱から始まった。(THAC+1 AC-1)

続いてフィーネがオスロを唱える。(物理与ダメージ+1)いつもの強化魔法セット。

プリエは敵の注意を引きつけようとするが、その前に野党たちが一気に彼の周囲を囲んだ。

当然だが、今まで戦ってきた植物や昆虫とは違い相手は(広義の)人間だ。適切な判断で行動するし、作戦も立ててくる。

まず回復役の僧侶を狙うのは当然のことだ。そういった人間を相手にするという事実に若干の怯れを感じつつ、プリエは構えを取る。

数の有利もあり余裕があるのだろう。汚らしい笑みを浮かべながら、野党が次々と襲い掛かってくる。前後左右、合計5回の斬撃!

一合、二合、三合、四合、五合! 

(防御の上からなのに、防ぎきれない!)

武装した人間相手との(本気、本身の)立ち回りはこれが初めてだった。

モンスターの攻撃に比べ圧倒的に避けにくい。当然のように急所を狙ってくるため、攻撃の芯を外しても庇いきれない箇所が出てきてしまう。

力はモンスターより低いのだろうが、戦い方にこうも差ができるとは思っていなかった。

とはいえ、相手が人間ならそんなことは当たり前である。こちらも最大限の能力を活かして立ち回れば良い。

1人で5人と戦っているわけではないのだ。前回の戦いを思い出しながら、プリエは後方にステップを踏んだ。

それを追いかけるように、ブッシュワッカーが前進する。

(よーし、その位置だ……。)

相手の進行方向を操り、できるだけ密集するように。そして、打ち合わせ通りとばかりに身を翻し間合いを開けた。

「LI-QUREA 炎よ霧となりて彼を包め」

ボァン!!

フィーネの詠唱と同時に、敵がひとかたまりになったところへ高熱のガスが噴出した。

あまりの熱さにのたうつ野党たち。隣にいるプリエにもその熱気が伝わってくる。

ギャアア アヂィヨォ

「神よ汚れし魂を救い給え……。」

そこかしこから上がる苦悶の声に、思わず祈りの言葉を呟く。

しかし今は、生と死が交錯する生々しい喰らい合いだということを忘れてはならない。

救いなど、所詮生き残った側にしかないのだ。

先程の攻防で刀傷のついた腕に活を入れ、プリエは熱さに苦しむ敵の頭上へフレイルを振り下ろした。



その後、前線で壮絶な白兵戦を繰り広げるも魔法のサポートのおかげで3人は勝利。

打撃防御の上からでもダメージを与えてくる攻撃力に手を焼いたが、こちらの総力がそれを上回った。

ムーノが最低限の後始末をして先へ進もうとすると、立ち止まっているプリエに気がついた。少しわざとらしいかもしれないが、声をかけてやることにする。

「どうした?傷が痛むのか?」

「ああ、そうじゃなくて。……自分の迷いを潰してたんだ。」

「(人間相手は)初めてだったものね。……大丈夫?」

「うん!平気平気っ!」

気を使ってくれる仲間へ思わず元気に返事をしてしまったが、それもおかしいかな、とプリエは苦笑いした。

だが目指す理想の冒険者になるには、これくらい乗り越えなくてはならない。

「死は誰にも等しく平等なのさ。」

「え?」

「だから理不尽なことがないよう、皆精一杯努力をする。無論、俺達もな。」

「……! そっか、そうだね。」

ムーノもたまにはいいこと言うな、とプリエは思った。その言葉が意外というよりは、過去になにかあったのかだろうかと想像させる。

不意に、前方のフィーネが片腕を横に伸ばした。草をそっとかき分け目を凝らすと、急に開けた場所が見える。ここから茂みが終わろうとしているようだ。

そしてその先には、苔むした古城の城門が静かに佇んでいた。





解説


魔法の規制

昔のムック本に載っていたリルガミンの酒場での話。
覚えたての魔法が嬉しくて指先から火をちょっとだけ出してみた新人メイジ。それをマスターが見た瞬間、首をバッサリと刎ねたらしい……。恐ろしや……。



ブッシュワッカー

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出典:PROVING GROUNDS OF THE MAD OVERLORD

最序盤のモンスターなのにとんでもなく強い。最初にコイツに殺されるのがWIZの洗礼みたいなもの。
これでも原作より抑えてあるほう。戦士でも簡単に即死する。レベル3なのでWIZTTなら少し成長してから相まみえるだろうから、こちらは安心して戦える。(たぶん)



人間相手は初めて

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WIZ世界は簡単に生き返ることができるぶん、人の命は軽い。そのぶん殺人にもためらいがないと思うと恐ろしい。まさに無法地帯!
posted by おやびん at 13:42| Comment(0) | TrackBack(0) | TRPG

2017年04月14日

救世の剣 その8

その日、まだ朝日が眩しい時間にプリエは目を覚ました。

いつもの起床時間より一時間ほど早いだろうか。僧侶としての修行で規則正しい生活が身についているが、この日ばかりはペースも乱れていた。

体を動かすたびにミチミチと筋肉が軋む音がする。死んだあとそれほど放置されていたわけでもなさそうだが、肉体が元のペースで動くにはまだ少し時間が必要なようだ。

筋肉痛にも似た感覚に怠さも加わりベッドから起き上がるのが少し辛かったが、寝たきりになるわけにもいかないので四肢に喝を入れどうにか体を持ち上げた。

まだ早朝だが目が覚めてしまったものは仕方がない。プリエはベッドから立ち上がると窓を開け、朝の空気を思い切り吸い込んだ。まだ冷たい爽やかな外気が肺に入り込み、気持ちをスッキリとさせてくれる。

それから、朝日に向かって一日の始まりである祈りを捧げた。

死んでしまってから自分は、皆はどうしていたのだろうと、寝間着から着替えつつ頭の中を整理する。そういえば自分は今、個室で目を覚ました。

酒場の二階は宿泊スペースになっているが、ここに来た直後にしか泊まったことはない。普段は金もないためムーノと一緒に馬小屋で寝ることが多いからだ。

ムーノ達に話を聞きたいがまだ寝ているだろう。身の回りのことを済ませると、プリエは部屋を出て、階段を降りた。



「あら、起きたのね。おはよう。」

酒場には、意外にもフィーネがいた。

普段も早起きなのだろうか。きちんと身づくろいを済ませている。

プリエもハッとして顔をピタピタと触るが、先ほど整容も軽く行ってきたことを思い出し安堵した。

正直なところ、まだこの人に対しての接し方がわからないところがある。というより、プリエ自身が女性に対しての関わり方がいまいちわかっていない。

少し顔を赤らめながらおはようと小声で返し、階段から酒場の広間へとできるだけゆっくり歩いていく。

フィーネはテーブルを三つほどくっつけて、その上で何かをしているようだ。

あたり一面、見たこともない実験器具のようなものがゴチャゴチャと散乱している。

呆気にとられるプリエを見て、フィーネが自分から答えた。

「ああ、これ?この時間なら誰もいないからよく使わせてもらってるの。」

酒場が本格的に開くのは昼食時からである。とはいえ、こんなことを大っぴらに行っていたらマスターにどやされるだろう。

使わせてもらってるなんて言っているが、マスターから許可をもらったわけではなさそうだ。

散らかったテーブルから、改めてフィーネのほうへ視線を戻す。

自分のせいで撤退を余儀なくされた事実を考えると顔を合わせるのは気が重い。

プリエは口を横に結び、フシュッ…と鼻を鳴らしてから向かい側の席に座った。

数秒間を置き、意を決して口を開く。

「あ、あの……この間は、g

「ごめんとかそういうのは無しよ。」

「う……え?!」

「あなたは失敗したとか無理しすぎたとか思ってるのかもしれないけど、そうじゃない。私たちはあなたを信じてたし、なんとかなると思ってた。」

「本当!?」

怒られるかもしれないと思っていたぶん、そう言われると嬉しさがこみ上げてきた。

何より自分を信じてくれていたという台詞は予想外である。

「まあ結果はああなっちゃったけど、それはチームとしての負けってこと。全滅したわけじゃないし、気にしなくていいわ。」

「そうかあ……エヘヘ。フィーネってやさしいんだなあ。」

「え、や、な、……何いってんのよ!客観的な話よ!」

そう言いつつも赤くなるフィーネ。

普段クールに振る舞っているが、実は意外と照れ屋なのかもしれない。

プリエは褒められた嬉しさもあり、ニコニコと笑顔を向ける。

フィーネは腕組みをして体を反らせ、ぷいと顔を背けた。

「そ、それより!気になったことがあったんだけど。」

「気になったこと?なに?」

「あなた、あの時やけに戦闘に拘ったわよね?前衛は慣れていないみたいだったのに、なぜ?」

「ああ……それね。」

ちょっと恥ずかしいんだけど……と前置きをしてから話を続ける。

格好つけているわけではない。自分のことを語るのはあまり慣れていなかったため、実際に気恥ずかしいのだ。

「今まで、自分がこれといった役割をこなしてきたことがなくってさ。ただ流されるだけの、平凡な生活だった。」

「それが、冒険者になって、初めて自分の居場所みたいなのを見つけられたとき……。なんか頑張ろう、頑張れるって、そう感じたんだ。」

「だから簡単には譲らないぞ……って。もう、すぐに投げ出すようなことはしない、なんて思ったらね。一区切りつくくらいまでは何とかやってろうという気持ちにね……。」

途中、何度もつっかえながら言葉を吐き出す。それでも丁寧に、今の気持ちを自分なりの表現でつないでみた。

フィーネはそれを遮ることなく、途中ウンウンと頷きながら最後まで聞いている。

「それから、前衛って大変なんだなってこともわかったよ。途中から避けるのに夢中になっちゃってたけど、痛いってのは、苦しいね。回復魔法飛ばしてればいいや、なんて考えてた自分にバチがあたった気分だよ。」

「敵を殴るのも、痛いんだよなあ。殴る手も、体も!ついでに言うと相手の痛さも感じるっていうか、自分が攻撃してるとき当たったら痛いだろうなこれって思っちゃったりして……。」

「ええと、何ていうか……。うまくまとまらないけど、お互いに苦しい思いをしてようやく他人の痛みがわかったってことなんだよね。これは教会で祈りを捧げているだけじゃ絶対わからなかったよ。まあ相手はモンスターだったけど!」

ひとしきり自分の気持ちを話し終えると、少しだけ二人の間に沈黙が流れた。相手のことを考えずに喋りすぎたか、と気まずさを覚える。うまく伝えようとして興奮しすぎていたのかもしれない。

フィーネは一度目線を下に落として一瞬だけ思案のポーズを取り、また向き直った。

「なるほど。よくわかったわ。」

一言返すとおもむろに立ち上がり、プリエのほうへ向かってくる。

少し緊張した表情の彼の横を通り過ぎ、すぐ後ろで止まった。背中合わせのまま、言葉を続ける。

「回りのことをことを考えていないとか、お宝に目がくらんだとかじゃなくて安心した。無謀で計算ができない人は私のパーティーには必要ないからね。」

「う、うん。そういうわけじゃ、ないyぅひ!?

唐突に、湿った暖かい空気がプリエの耳元へ当たった。

突然の事態に、心音が高まる。状況が掴めないが、フィーネの吐息が自分に浴びせられたようだ。

嗅いだことのない、いい匂いがする。

とても近くにフィーネの体温を感じる。

「よかった……フフッ……本当に、やさしいのね。」

「いやっ、そんなことは……。あの、計算は苦手だし……///」

自分でも何を言っているのかわからない、間抜けな回答しか出てこなかった。

こういうときはどういう顔をすればいいのだろうか。当然、プリエが知るわけもない。

その様子を見て、してやったりという表情でフィーネが笑った。

「さっきのお返し♪」

いたずらっぽい言葉を残しサッと体を離すと、上機嫌で酒場から出て行く。

プリエはただ茫然とその後姿を見送るしかなかった。



「おう、早えーな。ファァ……。おはよう。」

ムーノが欠伸をしながら酒場に入ってきた。

昨晩も馬小屋に泊まったらしい。乱れた容貌から、すぐに推測できた。

自分がちゃんとした部屋に置いてもらったことに少し罪悪感を感じる。

「おはよ。そういうムーノこそ、いつもより早いね。」

平静を装い、落ち着いて挨拶を返す。

ムーノの薄汚れた顔を見ていると、いつもの空間に帰ってきたという実感が湧いてくる。

「ごめんね、やられちゃって。治療費高かったでしょ?」

「ん……気にすんな。それに駆け出し冒険者の治療費はサービスだってよ。」

「あれ、そうなんだ。」

「それよか残念だったな、最後まで戦えなくて。」

「うん……。いけると思った途端にあれだよ。気を抜いたつもりじゃないけど、油断と言うんだろうなこれは。」

「そうかもな。ただ、最初のうちにこういう経験ができたのはむしろ大きかったんじゃねえの?」

「……そっか!そういうふうに考えていけばいいよね。ありがと!」

思っていたより二人はポジティブなようだ。プリエは嬉しくなって元気が湧いてくるのを感じた。もう次の冒険に出たいくらいの気分である。

「ところで、この珍妙なガラクタ市場は何だ?」

並んだテーブルの上の物を訝しげに見つめ、ムーノが疑問の声を上げる。

確かに素人から見たら怪しげな産業廃棄物にしか見えないだろう。

「フィーネがさっき何かやってた。魔法の研究じゃないの?」

へぇ……と相槌を打ちながらムーノはテーブルに近づく。興味があるのかないのか、広げてあったノートを勝手に見始めた。

「知らないよ、怒られても。」

「……イモリの汁、腐らせたコウモリ……エラい人の絞り汁?!なんだ、これ。」

プリエが注意するがお構いなし、といった様子である。

手近にあったフラスコを掴むと、適当な量を混ぜ合わせ始めた。

「ちょっ、何やってんの!やめなよ!」

「大丈夫だよ、ここに書いてあるのを、こう。」

そう言いつつも、手つきが怪しい。

しかも早い。

「ダメだってば!それ、貸して!」

「おい、やめろ!今もう少しで……。」

揉み合いながらフラスコを奪い合う二人。

しかし悲しいかな、身長差からプリエの手は当然ムーノの手には届かない。


シュワー!!


ムーノが薬品を混ぜていたフラスコが、急激に熱を帯びてきた。

その熱さに思わず手を離してしまう。

床へ向かって落下していくフラスコ。

そして着地と同時に……




キュドッ!!!!!



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爆発した。





解説

駆け出し冒険者の治療費

『ファルミアでは』無料!安心!親切!丁寧!
それ以外はケチなハイキョウシャめ!でていけ!!



魔法の研究

リクレア(錬金術魔法Lv2)3×3の火炎ダメージ空間。雲系。ダメージ1D4。
使った瞬間と入った瞬間とターン終了時にそこにいればダメージ発生。
レジストできない、先制で唱えられればターン終了時のダメージを嫌がって敵が移動を強いられる、3ターン残る。
コレに始まる雲系魔法はとにかくいやらしい。使ってみるとその強さにびっくり。
posted by おやびん at 00:02| Comment(0) | TrackBack(0) | TRPG
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