Wizardry Online * 無法地帯 *

 Wizardryな日常を綴ったブログです。

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 いざ行かん 無法の荒野へ

2017年07月09日

救世の剣 その15

「ずいぶん歩いた感じだな。今、どのへんだ?」

「ファルミアから街道を抜けて、平原へ出たところね。道中の1/3ってとこかしら。」

フィーネが地図を両手に広げ、退屈そうに歩くムーノの雑な質問に答えた。

今日の空模様は晴天。旅をするには絶好の日和である。

ファルミア地方は元々、雨が少なくカラッとした天気が多い気候だった。いわゆるステップ気候に近く、土地の性質は農業に適している。

こうした条件から市街地の周囲は農耕地が多いのだが、今回の依頼があったジナの町はそのさらに外。領内でもかなり端っこに位置していた。

しかしここからは平原が続くため、森に分け入ったり山越えをするような苦労はない、とフィーネが補足を入れる。

ジナの村へは通常徒歩で2日程度だが、3人の足では予定より早く着きそうな様子だ。

「こう天気がいいと、仕事ってことも忘れちゃいそうだね。」

顔を上げ空を見ていたプリエが呑気につぶやく。

その言葉通り、天気は小春日和というところ。旅をするにはもってこいである。

切った張ったの前なのに緊張感が無い、と咎めるものはいない。

殺伐とした仕事が多い冒険者にとって、こういった束の間の穏やかさはむしろ砂漠のオアシスとでも言うべき時間だった。

「ちょうどいい丘が見えてきたわ。あそこで食事にしましょう。」グ〜

「まだ11時前だよ?早くない?」

「いいのよ。ちょうどいいからいいのよ。」

「朝食からまだ3時間くらいしかたってないだろ……。もう少し歩いt」

「 い い の よ 。 」ググ〜

「アッハイ」

逆らうと面倒そうだと判断した二人は、急いで丘を登った。

速やかに陣地を確保し、背負っていた荷物を下ろす。

軽くにじんだ汗を拭いあらためて周囲に目を向けると、なるほどフィーネの言うとおり周囲の耕作地やそれに育まれる柔らかな草花の背が広がり、良い景観を作っていた。

プリエは丘の風を感じながら、遠くに視線を移しフッと軽く息を吐き出した。そしてすぐに振り返って、今度は現実と対峙する。

「食事当番、ムーノだっけ?」

「何さらっと人任せにしてんだ。平等だぞ。」

「誰でもいいんだけど、早くしてくれないかしら?」

「お前もやるんだよ!」

「私、もうお腹空いて動けないわ……。」ヨヨ

「僕もこないだやったばっかりダヨ?」

「……ようし、わかった。ここはひとつ、冒険者らしくこいつで決めようじゃねえか。」ズイッ

そう言って拳を突き出すムーノ。

それに呼応して、プリエとフィーネの目もギラついた狼のそれに変わる。

「いいわよ。恨みっこはなしよね。」ググッ

「ふん、泣いたって代わってやんないからね?」サッ

殺気とともに、一瞬の静寂が訪れる。

張りつめたような緊張感がその場を支配する。

刹那、3人はほぼ同時に拳を繰り出し―――





ジャンケン〜 ポン!!!





「弱者が虐げられる理不尽は、世の常だ……。」ブツブツ

「ねぇ〜まだ〜?」

「……そう思うんなら薪でも拾ってきてくれないかな?」

「今日のメニューは何かしら♪」

「いや、たいしたもん持ってきてないの知ってるよね。……オートミールだよ。それと干し肉の炙り。」

不満を漏らしつつテキパキと用意をしていくプリエ。

丸く円柱状に石を組んだ中へ枯れ枝を集め、火を起こす。その上に鍋を乗せれば、簡易型かまどの出来上がりだ。

火に息を吹き込みつつ燕麦と水、そして塩を鍋に入れ、手早く煮込んでいく。

しばらくすると鍋の蓋がコトコトと振動し始め、ほのかに甘い香りが中から漏れ出してくるのがわかる。

「もう煮えたんじゃない?」ワクワク

「まだだよ。慌てないで待つのが肝要さ。」

同時進行で干し肉を串代わりの枝に刺していく。竹材などがベストだろうが、有るもので適当に作るのが普通である。ただし、アジサイやキョウチクトウなど毒のある植物には注意が必要だ。この世界でも例外ではあるまい。

それを火で炙っていくと、ジュワーという脂がにじみ出る音が染み出してきた。表面にたっぷりまぶされたスパイスと混ざり合い、いい匂いがしてきたら食べごろだ。

頃合いになった鍋の蓋を開けると、むあっと暖かな蒸気が立ち昇る。顔にまとわりつく湯気をよけながら、プリエは手早く個々の食器に粥状になったオートミールをよそった。

味付けは塩が基本だが、好みによって砂糖、バター、ジャムなど甘いものと一緒でもいい。

めいめいの手元に食べ物が行き渡ったところでプリエが食前の祈りを唱え、ほか二人もそれに従う。……いや、従っているのは初めの数句で、後半にはこっそり食べ始めているようだった。

負けじと自分も椀を取るが、一瞬その手を止めてプリエは飢えた野獣たちのほうをちらりと見た。

これは小さなチャンス。そう、気軽に、自然に、食の好みを聞き出せるいい機会だ。

作り手が味の感想を知りたがるのはごく自然な流れ。食事当番を請け負ったゆえの特権である。

(ったく、こんな細けぇことシチュお膳立てしなくても普通に聞けるだろ……ヘタレめ。)

(人にはそれぞれペースってものが……って、何勝手に人の思考読んでるの#)

コホン、と小さく咳払いをしてプリエはフィーネのほうへと向き直った。

「……き、今日はこういう質素なご飯だけど、みんなはどんな料理が好きなの?」

「俺は美味けりゃなんでも。あえて言うなら懐石料理なんk「あそう。フィーネは?」

質問を投げかけられたフィーネは、いったんオートミールをかっこむスプーンを止め、思案していた。

ムーノからヘッドロックを食らいつつ、固唾を飲んで答えを待つプリエ。

「……カナッペ。」

「え?」

「カナッペが好き……。手軽さもいいし、見た目がかわいいのもいいわよね。」

「あ、あ〜そうなんだ〜?僕も好きだよ!」

一瞬、目が点になるプリエだったが、すぐさまムーノに助けを求める。

(ムーノ!カナ……カナッ、ペ?何?)

(……俺に聞くなよ。)

(イナカッペのムーノなら知っているかと……。)

(顔面複雑骨折させっぞこの野郎。)

考えて分かるようなものでもないし、知ったかぶりすると碌なことにならないだろう。

話の流れをぶった切ることになるが、プリエは話題を変えようとする。

「ところで、依頼内容の「そう言うあなたは何が好きなの?」

が、意外な反撃にすっかり面食らうプリエ。

少々思慮が浅かったというか、目的ありきの会話であったと反省することになった。

(まずい……。考えろ、どう答えるのがベストだ……?)


『カレー!』

『子供っぽいわね(呆れ)』


(いかんいかん正直すぎる)


『お寿司!』

『贅沢ね……(呆れ)』


(いや、もっと身近な……。)


『オムライス!』

『子供っぽいわねry』


『ハンバーグ!』

『子供っry』


『マツタケ!』

『あっ、ふーん…(察し)』


(……。)

「?」

(またしょーもないこと考えてんな……。)


(あーもー出てこないや……普通にいこ。)「僕はね〜、から揚げが好きかな!」

「から揚げ……?ふ、ふーん……。おいしいわよね。私も好きよ。」

想定していたものとは違う、何とも微妙なリアクションである。

正解だったのか失敗だったのか、判断が難しいところだ。

(本当は興味ないけど、相手に合わせている感じなのかな……。)

少しがっかりした様子でプリエは(あっというまに)空になった食器たちを片付け始めた。





解説



オートミール

全粒穀物であるため栄養が豊富で、水や牛乳、豆乳で煮て粥状にして食べたり、料理の副材料として用いられることもある。軽く煮るだけで粥状になり食べることができるので、朝食用のシリアルに用いられることも多い。〜Wikipediaより引用〜 ※おやびんは食べたことありません。今度買ってみよっと!



カナッペ

一口大に切った食パンや 薄く切ったフランスパン、クラッカーなどに、チーズや野菜などをのせた料理。軽食のひとつ。名称はフランス語で「背もたれのある長いす、ソファー」の意味、イタリア語では、トラメッツィーニ (tramezzini) またはタルティーネ(tartine)と称する。〜Wikipediaより引用〜 ※おやびんは食べたことありません。
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2017年06月26日

救世の剣 その14

今日も酒場の掲示板は、依頼のエントリーで賑わっていた。

コルク板に所狭しと様々な依頼が貼り付けられており、内容も様々である。

プリエたちがファルミアに来て早数ヶ月。駆け出しだったころは受けられる依頼を探すのが一苦労であったが、そこそこの冒険者として認められるようになった現在では選り取りみどりといったところだ。

「青っぽい大きな悪魔が畑を荒らすので困っています、か……。これどう?」

「……やめとけ。嫌な予感しかしない。」

他の冒険者パーティとも連携が取れるレベルになっているのだが、現在の戦闘スタイルが板についてきてしまったので3人の編成は崩していない。

何より、報酬が減るのは痛手である。というのも、3人全員がレベルの折り返しを済ませているからだ。つまり、転職の時期が近づいてきているということに他ならない。

今はどうしても、後のことを考えて貯金しておく必要があった。転職後というのはレベルが1に戻ってしまうものである。その際、強力な装備があればあるほど立て直しが有利になるのは言うまでもない。

「だいたいさあ?こういうのってアレよ。いい仕事が見つからずブラブラしているところに、事件を抱えた少年が酒場に駆け込んでくるわけ。」

「??」

「『どなたか助けてください!お母さんが病気で倒れちゃったんです!』っていう具合にな。」

「……あ、はい。」

「『悪いが、ここは病院じゃねえんだ。そういう用なら医者に聞けよ、ボウヤ。それでダメなら寺院に行きな。』下品な笑いが酒場に響く!てんで取り合わない荒くれ物たち!」

「そんな絵に描いたような荒くれ冒険者ってこの店にいたっけ?」

「『お医者さんには見てもらったんですが、何の病気かわからないって……。でも、○○の森にある薬草さえあればたいていは治るんです。村のみんなが言ってました!』」

「寺院直行じゃないの?流れから察するにそっちでもだめだったってことかな?」

「『○○の森だぁ〜?最近モンスターが湧き始めてるっていう危険地帯じゃねえか……。大体、カネは持ってきてンのか?出すもん出すなら助けてやらないでもねえぜ?』ニッ、と黄色い歯を見せて嫌らしい笑みを浮かべる冒険者。すると……。」

「もー!妄想はそのへんにして、真面目に依頼選んでよ〜……。」

ムーノの目が焦点をなくしている。プリエが話かけてもまったく耳に入っていないようだ。

集中力を凄さと言おうか、ただの妄想癖なのか……。

とにかくムーノが一旦こうなると、現実に戻ってくるのにしばらく時間が必要だ。

「『は、はい!僕のお小遣いを貯めていたお金があるんです!』ジャラジャラと小銭を取り出す少年。『オイオイ、冗談きついぜ。こんなもんで命をかける奴ぁ〜……いねぇよ!』バシッ!手で硬貨を弄んだ後、少年へ投げ返す冒険者!」

「あ、あのう……、すみません。プリエさん、でスよね?」

「は、はいっ!そうです!」

不意に男の声がして、驚いて向き直るプリエ。

声の主は、気の弱そうな壮年の男性だった。作業着を着ており、訛りのある口調が印象的である。まさしく農夫、というのにふさわしい容貌だ。

プリエが目をぱちくりとさせていると、おずおずと言葉を切り出してきた。

「『ハハッ、さっさと帰んな!もっと金を貯めて、腕のいい医者か僧侶を探すんだな!』……ガシッ!さらに硬貨を投げようとするその腕を、何者かが力強く掴んだ!」

「さっきマスターにお願いしたら、あなた方が適任と言われたもンで……。ええっと、お願いしたいことがあって来たンですが。」

「わかりました!ええっと……あちらのテーブルで!どうぞ!」

若干慌てつつも、なんとか対応の言葉を継いでいくプリエ。

ムーノがこんな状態で、フィーネも見当たらない今は、自分が依頼主の対応をしなくてはいけない。

仕事なのだから当然のことではあるが、コミュニケーション能力の低い彼は実質自分しかいないこの状況でプレッシャーを感じているようだ。

「『あん?!なにしやが……』冒険者が振り向くと、そこにはイケメンサイキックニンジャ、ムーノ氏がいた!『いい医者を探せよ……ただし、お前がな。』くうぅ〜、カッコイイ!!」ジタバタ

「あの、この方は大丈夫でスか?なんかの病気では……。」

「ええ、そのようなもので……。気にせず続けてください。」アセリ

窓際の落ち着いたテーブル席に移動する二人。

そのまま話を続けようとすると、カウンターの奥から様子を見ていたマスターが冷たいお茶を持ってきてくれた。

その気遣いに思わずハッとする。こういう細かい気配りが、今の自分には必要なのだ。……あえて何のためにとは言わないが。

自分の至らなさに若干気分を沈ませつつ、プリエは頭をポリポリと掻いた。

本当、何に関してもまだまだ修行が足りないようだ―――。



「それで、ウチの村では代々その祟り神サマに貢物をして祀っていたんでス。」

「その祟り神様が荒れ狂って暴れていると……。今までにそのようなことは?」

「『わかった……その依頼、なんとかしてみよう。』『本当ですか!』荒くれどもを退治した後、ムーノ氏はクールに答えた。」

「ありませンねえ。今まで一度も……。貢物の食べ物が足りないと怒っていたことはあったみたいでスが。」

「何か外的な要因があるのかもしれませんね。調査する必要がありそうです。」

「『○○森だったかな。たしかにあんな危険なところじゃ、普通の人間が入るのは無理だな。』『そうなんですが……お姉ちゃんが先に行ってしまって。お医者さんに諦めろって言われたすぐあとに、自分がなんとかするって言って飛び出していっちゃったんです!』『なんだって!』」

男の話では、昔からこの村では、祟り神を信仰することで恩恵を得てきたという。

具体的には、大きな獣型の生き物を祟り神として祀ることで他のモンスターや野党などを寄せ付けないようにする……ということらしい。

正直かなり不安になる話だが、きっとその土地その土地のやり方があるのだろう。

村の名前はジナというそうで、ファルミア領でもかなり辺境に位置している。いわゆる田舎では、現在でも奇妙な風習が残っていることが多いが、これもその類と言えるかもしれない。

「なんとかするっていう範囲なんですが……退治することになってしまってもよろしいのですか?」

「はあ、それも仕方がないと皆言ってました。私らの命あってのモンですからね……。」

「『姉さんは必ず助け出す。君は信じて待っていてくれ。』『ぼ、僕も行きます!』『危険だ……無茶はするな。』『あそこなら危険地帯になる前に行ったことがあるので、道順くらいは案内できます!僕にも何かできることをしたいんです!』」

「わかりました、やってみましょう!せっかく僕らを選んでいただいたのです、ご期待に添えるよう頑張ります。」

「おお!良かった、お願いしまス。なにせ小さな村なもんで、あんまり報酬もたくさんは出せないンですが……。」

その言葉から、具体的にはどれくらいのものか大体は想像がつく。言葉を濁したということは、それほど高額ではないのだろう。

それに、小さな村だというのならなおさらである。

こういった冒険者への依頼量はピンからキリまでというところだが、一応相場というものも存在している。

しかしそれ以上に報酬を左右するのは、冒険者の質に他ならない。

依頼をこなすことができる実力。決して途中で投げ出さない信頼性。そして依頼主に対する誠実さ。……そういったものが「良い」冒険者に求められる条件である。

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いい社会人の条件ってのは、何の職業でも同じだ

「こ、こンぐらいで、足りますかね……。」

「『あ、で、でもお金が……これだけじゃやっぱりダメですよね……?』『いや……(スッ)』散らばった硬貨を拾い上げるムーノ氏。」

「20000g.p.ですか。うーん?必要経費を差し引いてっ……と……。」

慌てて筆記具を取り出し、慣れぬ計算を始めるプリエ。

正直なところ、勢いで返事をしてしまったので正確なプランを建築していたわけではない。

計算といってもよく分かっていないうえに焦りもあり、頭の中は真っ白に近い。

「『(硬貨を3枚つかみ)これは、俺が。あとは一枚ずつ、俺の仲間が。で、残りは釣りだ。』『えっ、でも、それじゃあ……。』『病気が治ったら花束が要るだろ?それと美味い飯も、な。』」キマッタ……(ビクンビクン)

「ムーノ!いい加減戻ってきてよ!経費、これくらいで足りる?」つメモ

「いいでしょう。20000でお受けします。」

唐突に差し込まれる、静かで品位のあるやや低めの声。

驚いたプリエがそちらへと視線を向ける。

声の主はもちろん、フィーネだった。たった今、外出から戻ったという様子である。

「あ、おかえりフィーネ。途中からは聞いてたかもしれないけど、依頼があってね……。」

「ええ、なんとなくはね。――申し遅れました、私はフィーネ。このパーティの一員です。お見知り置きを。」

「あ、へっ、へえ!どうぞよろシく……。」テレテレ

照れる依頼主に、ムッとするプリエ。

普段は静かな印象があるフィーネだが、こういうとき他者への対応は非常に上手かった。

とはいっても、話術とか交渉術とかそういうことではない。育ちの良さが影響しているのか、雰囲気や仕草、声の調子など、人を惹きつけるようなものがあるのだ。

「また一個、かなわないものができたなあ……。」

自分は暗い。そんな事実を突きつけられたような気がして、少しだけ落ち込む。

それと同時に、フィーネのような人物が仲間にいるということが誇らしいという気持ちも生まれる。

(デレデレしちゃって……。でも一番近いところに僕という存在がいるからね!だめだからね!)

この男、妄想の中では強気である。

「そのかわり……ひとつ条件が。」

「えっ、は、はい。お金以外でもあんまり高価なもンはねえですが……。」

「いいえ違います。もっと単純なものですわ。道中にモンスターがいた場合、戦利品は持ち帰ってもよろしいでしょうか?もちろん、もともと村のものだった物は除いて。」

「なんだ、そんなこってスか。どうぞどうぞ、大丈夫です。道中の魔物まで倒してくれるとは、むしろありがてぇ。」ホッ

うまくいった、とばかりにフィーネはプリエのほうへウィンクしてみせた。

そのさまを見て、プリエもその真意に気がつく。

代々祟り神を祀っている祠、というのがポイントだ。それだけ古く、謂れのある場所ならば珍しいアイテムが眠っている可能性が非常に高い。

しかも強力な魔物が守っていたとなれば、他所の人間が立ち入ることもなかったはず。

それを瞬時に感じ取り、一瞬で判断した行動の速さは実に見事だ。

まず相手の条件を即座に飲み、貸しを作る。そのうえで自分の条件を出したわけだが、難しい条件に見せておいてから提示し相手を安心させる……これも上手い。

前言撤回、見事な交渉術である。

「それじゃそういうことで……。よろしくお願いしまス。私は先にジナの村へ戻ってますんで。」スッ

ササッ「わかりました!明日にでもお伺いします!」ガシッ

握手を求め差し出された依頼主の手を、素早く間に入り込んだプリエが力強く握り返す。

依頼主の男は一瞬、明らかに顔を引きつらせたようだったが、プリエは涼しい顔で別れの言葉を口にした。





解説



レベルの折り返し

WIZARDRYではレベル13が一つの区切りとなっている。いわゆるマスターレベルというやつである。
このレベルになると魔術師や僧侶などの基本職スペルユーザーは呪文を全て覚える。(もし覚えなかったとしても各々の呪文領域にMPが発生すれば、転職後に再び覚える判定が行える。)転職後に引き継がれるのはHPと技能、そして呪文なので、TRPG版においてもレベル13で転職は鉄則。というわけでこの頃はおそらくレベル10を越えてきたあたりと思われる。
ちなみに原作WIZと同じくWIZTTでも戦士一筋、司教一筋といった脳筋キャラも作成できるし多分転職するより強いのでこちらも良いのだが、他のプレイヤーとレベル差が開きとても面倒くさいことになるので空気を読もう。



祟り神

貢物あげすぎて大きくなっちゃった♪暴れて困るから処分しよう!
ってedf氏のシナリオ、なんか何度かやった覚えが……。

あ、何でも無いっス!



別れの言葉

一応断っておくが「さっさと帰れ」という意味で、殺◯しちゃったみたいに聞こえるけど違うからね!!
posted by おやびん at 00:22| Comment(0) | TrackBack(0) | TRPG

2017年06月13日

救世の剣 その13

「『拝啓 父さん、母さん、クリオ。みんな元気にしていますか』……っと。」カリカリ

「うーん……。」

「『僕のほうは元気です。最初はどうなることかと思いましたが、楽しい仲間に恵まれ良くしてもらっています』うん、よし。」カリカリカリ

「『一人前の冒険者になるまではこっちで頑張るつもりです。』」

「『追伸 クリオは彼氏とうまくいっていますか?僕もこっちで気になる人ができました。いつか紹介したいと思います。   プリエ』……///」

「な、な、なーんつって!ハハ……。」クシャクシャ ポイッ

プリエは家族の元へ手紙を書いていた。

親不孝をしているぶん、せめて近況くらいは伝えようと思い慣れない筆を走らせているようだ。

文才は無い。部屋の隅に置かれているくずカゴに入った、たくさんの失敗作たちがそう主張している。

ちなみに彼の家族構成は父と母、妹の4人家族である。

その妹に最近彼氏ができたらしい。

遅れを取ってくやしい気持ちもあり、少しだけ見栄を張って最後の一文を加えたようだが、嘘を吐き通す勇気はないようだ。

「くそっ、リア充め……。兄より優れた妹など存在しねえ!」

気恥ずかしさからか大きめの独り言をつぶやき、机に体を預ける。

妹のクリオはプリエと違い社交的で明るい性格。町でも人気者であった。内向的なプリエも徐々に成長してきているとはいえ、対象的な兄妹だと言われても否定はできない。

「グフッ……で、でもこれから!これからなんだもン!お兄ちゃん負けない!かならず前進してみせる!」

ガサガサ「えーと何々……『背が高くてとても綺麗な人です。きっとみんなも気に入ると思います。』?」

「!? む、ムーノ、いつからそこに!?ていうか音読しないで!返してよ!♯」

「ノックしたんだけどな(してないけど)。なんか夢中になってたんで、気が付かなかったんじゃないの?」

「え、そ、そうか、ごめん。……じゃなくて、それ失敗したやつだから!広げないで!」

ドタバタ ギャーギャー

「わあったよ。何書いてるのか気になっただけだから、そんな怒んなって。」

「まったく……。いつもそうやって人をからかうんだから。」

そうなのだ。ムーノはいつもふざけたような軽い態度を取る。それでパーティーが明るくなる面もあるのだが、それが自分一人に向けられるのなら話は別である。

真剣な場では正直やめてほしいと常々思うのだが、ムーノが調子を崩すことはなかった。

(そういえばムーノの暗い顔って見たことないな……。)

ちらりと彼のほうを見るが、やはり軽く微笑んでおりいつもの表情である。

それが表面上のものなのか、その下には本当の顔が隠されているのか、伺い知ることはできない。

そういえばもうすでに数ヶ月は一緒に生活しているが、彼の素顔にはまだまだ知らないことがありそうだ。

そしてそれは、もう一人の同行者も同じことである。

「……僕、もっとみんなと仲良くなれるように頑張るね!」

「なんだよ急にキモチワリイ。」

「で、何しにきたの?」

「仲良くなるって言っといていきなりご挨拶だなおい。……まあそれは置いといて、買い物にでも行こうと思ってさ。」

「え……いいけど、どうして?」

「けっこう金も貯まってきたし、これからに備えて装備を整えないとヤバいだろ。前回もけっこう苦労したじゃん?」

「そっかあ、確かにそうだね。この町の品揃えはすごいっていうし、見てみたいかも。」

「だろ?それに……。」

「?」

「いや、とにかく行こう。ほれ、はやくはやく。」

「ちょ、待ってよ。せめて机の上だけでも片付けさせて!」

プリエは手早く机の上の物を引き出しに突っ込むと、慌ててムーノの後を追いかけた。



「ひゃ〜、ほんとに装備がいっぱい……。あ、見てムーノ、あれクレイモアだよ!でっかいねえ!」

「はいはい。よけい子供に見えるから、はしゃぐなよ……。」

無邪気に目を輝かせるプリエと、静かに商品を見定めているムーノ。

ここはファルミアの大手装備店である。例のお触れにより、冒険者達によってたくさんの武器防具や魔法の品々が持ち込まれ、店内を賑やかしている。

二人とも見たこともないようなきらびやかな品々に、否が応にも冒険者の血が騒ぐ様子であった。

「武器はいいから防具買っとけ。鎖帷子は動きづらい(移動力-1)し、ミスク(装飾品・アクセサリー)も要るな。」

「え〜?僕ばっかり悪いよ。ムーノも何か買えば?」

「俺が攻撃もらうような状況はもうパーティ壊滅してるから。お前の防御力が最優先なんだよ。」

手持ちのお金で買えそうな、それでいて現状よりはっきり強化されるような……。そんな都合のいい掘り出し物がないか、二人そろって陳列棚に視線を走らせていく。

手っ取り早く店主に相談するのも良いが、やはり自分の手で、目で、気に入った逸品を見つけるのが買い物の醍醐味と言えるだろう。

「うわあ〜すごいな〜。見たことない武具がたっくさんだ。」



商店.bmp

このアイテムの豊富さ、WIZ特有のもの。この色とりどりなアイテムの数々にワクワクしない男の子はいないはず(断言)



「わっ……刀だ。やっぱりかっこいいな。」

棚の一角に、刀剣のコーナーが設けられていた。扱う職業の人口比率から、あまり売れるものでもないのだろう。他のコーナーと比べるとこじんまりとしている。

刀は他の武器と違ってデリケートである。手入れがうるさいぶん、武器としての切れ味も見た目の美しさも群を抜いている。

プリエは手近な刀を一本手にすると、少しだけ鞘をずらして刀身を覗いた。

きらりと妖艶な輝きを放つ刀の刀身はまるで鏡のようで、見るものを強く引き込むような魅力があった。その美しさに見惚れる自分の間抜けな顔がはっきりと写っている。

実家が鍛冶屋とはいえ、彼の家でも刀を扱うことはほとんどなかった。町に侍でも住んでいれば見る機会もあったのだろうが、そうそうお目にかかる物ではない。

プリエはしばらくその刀を見つめた後、少し興奮した様子でぱちんと鞘を閉じた。そして鼻息も荒いまま値段表を見て、がっくりと肩を落とすのだった。

『大典太 130000g.p.』

「ま、まあ、そうだよね……。ハハ……。」

乾いた笑いが虚しく通路を通り抜ける。戯れや道楽で手を出せる金額ではないようだ。

「でも、近いうちにきっと手に入れてみせる!ようし……目標がはっきりしてきたぞ!」

力強く宣言するプリエ。どうやら刀の持つ妖しい魅力にすっかり虜になってしまったようである。

しかし彼の人生で(人生を左右するほど大きな)目標を立ててそこへ向かって邁進するなどということが、これまで何回あっただろうか。

勢いで決めてしまうのはともかくとして、彼の生き方に成長が見られているのは確かである。

「あんまり店内で大声出すなよ。しかも独り言とか、危ない奴だと思われるだろ。」

隣にはいつの間にかムーノがいた。プリエを呼びに来たのかとも思ったが、意外と真剣に刀のコーナーを物色しているようだ。

「あ、ムーノ!ムーノもかっこいいと思うよね?こういうの。」

「そうだな……ま、俺も少ししたら使う予定だし?」

「え〜……。ムーノも侍になるの?」

「チッチッチッ。俺がなるのは忍者だよ N i n j a !サイキック・ニンジャ!かっこいいだろ!」

「サイキック・ニンジャ……? あ〜、そうね、かっこいい。かっこいいよ。」ハイハイ

「よし、表出ろ。ここは武器が多すぎて血ぃ見ることになる。」

「大体さぁ、忍者ってすごい敷居高いんでしょ?ムーノになれるの?」

「当たり前だ。順調にレベルアップ(するごとに毎回ほぼ全てのステータスが上昇)すれば余裕だな。そのへんの冒険者とはデキが違うのだ!」

「スゴイナーアコガレチャウナー。」



「……やっぱり、これになるかな。」

散々迷ったあげく、プリエが購入したのは銀の鎖帷子と金のメダリオンだった。

どちらも中級者用の定番装備である。値段が手頃で、信頼性も抜群であることから多くの冒険者が好んで身につけている。

「で、俺はこれ!」

ムーノはダイヤモンドローブと曝頭(しゃれこうべ)の指輪を購入。

ローブの派手さと先日入手したフェザーハットの見栄えの良さがマッチして、より胡散臭さ……もとい、超能力者らしさが増したように見える。

「……僕の防御力が最優先なんじゃなかったの?」

「これはこれだろ。金に余裕があるんだし、いいの。」

「それ僕のやつより高いよね?」

「ああ……。お、そろそろ昼か。腹減ったよな?」

「ごまかさないでよね?!」

少々納得がいかないものの、満足な買い物ができたことは嬉しいことだった。

それにムーノと一緒にいると、自分は自然と笑顔になるようだ。

自分のことをどちらかというと暗い性格だと思っているプリエは、ムードメーカーというか、ムーノのそういった点を尊敬していた。

それと同時に、自分も他者に尊敬されるようなところを作らなくてはいけないと、そう思った。

そういうまっすぐで真面目なところが彼のいいところなのだろうが、自分でそれに気がつくのは難しいだろう。



飲食店で昼食を摂り終えた二人はまっすぐ宿に帰らず、意外な場所へ立ち寄っていた。

ムーノの提案で帰る前に寄り道をしようということになったらしい。

プリエは今までの自分とは縁のないこの場所―――アクセサリーショップへ入り、少し緊張していた。

アクセサリーといっても冒険者が身につける魔法の品ではない。純然たる装飾品の店である。

「ねえ、ここって……。」

「そうだよ。プレゼントって言ったらやっぱこういうのだろ!」

一瞬ムーノの言葉が理解できなかったが、先刻の手紙のやり取りを思い出し思わず赤面する。

まったく、余計なことに気が回るものだと、照れ隠しついでにムーノの肩をひっぱたいた。

「ハハ……。まあ、こういうのってセンスが問われるからよく選ぶんだな。」

「そんなこと言われたって、わかんないよ……。買ったこともないし。」

予備知識は皆無だったが、とりあえず店内をぐるりと見て回る。

指輪にピアス、ネックレス……。色々なものがあるが、どれがいいかなどプリエには分かるはずもない。

しかしここで最悪なのは店員に声をかけられてしまうことであり、慣れているふうを装わなくてはならない。……と、プリエは無意味な見栄を張っていた。

「で、決まったか?」

「そ、そうだねぇ……。うーん……。」

正直なところ全くわからない。考えれば考えるほど、頭の中は真っ白になっていった。

いつもとは違うベクトルの緊張でドキドキと心音が響く。いったん深呼吸をし、それらを落ち着かせる努力をする。

そうすると、先程の思考が再び頭の中を回り始めた。

ムーノといると自分は笑顔になる。では、フィーネと一緒にいるときは……?

「そりゃ、決まってるよ。」

「おお……意外といいセンスだな?」

「え?いや、そういう決まったじゃなくて……。」

どうやらムーノはプリエの独り言を勘違いして受け取ったらしい。

プリエが立っていた前にあったのは、ネックレスだった。小さくシンプルながらもチェーンや宝石がそれぞれしっかりと自己を主張しており、なかなかの纏まった美しさがあった。

「うん。これでいい……じゃなくて、これがいい!」

フィーネのことを考えているところに出会ったのだから、何かの縁かもしれない。

正直なところ、ムーノの反応をうかがうとそこそこ良さそうだったというのもあるが、それは心の奥底へしまっておくべきだろう。

プリエは緊張して裏返ったままの声で、店員に声をかけた。



「ところでネックレスのプレゼントって、相手を縛りたい、独り占めしたいって意味があるんだってよ。」

「!!?」

「お前、けっこう重いな……。最初っからそんな勢いで大丈夫なのか?あるいは自信家か?」

「ちょっ、そういうのは買う前に言ってくれない?!」

帰り道の途中、ムーノが野暮な補足を入れる。

せっかくいいものを見つけたというのに、余計な一言である。

しかしながら、プリエは満足そうな表情だった。

「……。(チラッ)」

ムーノに気取られぬよう、そっと胸に手を当てる。

服の下には、先程買った金のメダリオンがさっそく着けられていた。

なんとこの男、渡す前から相手とおそろい気分になっているようだ。確実に童貞である。正直キモい。

「ムッツリスケベである。ヤバい。変態d

「勝手なナレーション入れないでよ♯」

あくまでからかってくるムーノに怒りつつも、悪くない気分だった。

これからの結果がどうなるか知るすべもないが、少なくともこういうことをしている間は幸せを感じる。

少しだけ大人の階段を登った気分のプリエであった。





解説



クレイモア

クレイモア.png

これでぶん殴られると発狂するとんでもない大剣。剣そのものの性能もよく、おやびんもよく愛用している。



大典太

大典太.png

天下五剣の一つ。流石の性能。詳細はリンク先のwiki参照。



銀の鎖帷子

銀の鎖帷子.png

中級者にうってつけの鎖帷子。ペナルティがなく装備できる職業が多くそして安い。



金のメダリオン

金のメダリオン.png

元々はイベントアイテムだが装備しても強い。ランクや値段の割には強力。



ダイアモンドローブ

ダイアモンドローブ.png

前衛が着てもいいほど優秀な性能を持つローブ。悪専用のためプリエは装備できず。残念。



曝頭の指輪

曝頭の指輪.png

金のメダリオンでいいけど一応気を使ってくれたようで……w
不死系に強くなるけど、後衛が殴られるって状況自体があってはならない気がする。
posted by おやびん at 00:57| Comment(2) | TrackBack(0) | TRPG

2017年06月03日

救世の剣 その12

ガチャ…

バチッ…

「ハァ……ハァ……。ま、まだ……。」ガキンッ

「し、しぶといガキどもめ……。いい加減諦めろ……!」

海賊たちとの戦闘も既に数十分は経過しただろうか。

お互いに力を振り絞り、体力も限界に近づいている。

魔力も底をつき、ひたすら殴り合うだけの原始的な闘争。まさに死闘極まれリ、といった様子だった。

「ようしプリエ、そのままキープ!これなら俺のSSSでいつかは倒せる!(たまに1ダメージくらい入る)」

「いつかはって……あと、どれくらい……?」ゼーハー

「ツッコミにキレがなくなったわ。……ダメかもね。」

誰にも決め手がないままの攻防が続く。1ターン、2ターン、3ターン……。

中盤くらいまでは気合のこもったダイスロールを行っていたプリエ(のプレイヤーのおやびん)にも疲労の色が見えている。ダイスを振る手が惰性を含み、輝きを失いつつある瞳は虚ろになっていた。

ここでフィーネが思い切った作戦に出る。前線まで移動し、スタッフのリーチを利用してプリエの後方から海賊を攻撃し始めたのだ。

「アナタダケニツライオモイハサセナイワ!」

「(榮倉奈々ばりの台詞読みだけど)フィーネ……!ありがとう!」

これで3人とも毎ターンの攻撃手段ができた。後は相手との苦しい根比べを制するのみである。ここにいる全員のうち、誰か一人が集中力を切らした瞬間にこの勝負は決まるだろう。

「俺のターン来たら言ってね〜。SSS撃つから。」オカシパクー

「……。」



長かった戦闘もようやく終わりを迎えた。

ギリギリまで体力を消耗したものの、なんとか死者を出さずに神経の削り合いを制することができた。

彼ら自身が成長したのか、それとも戦いに慣れてきたのか、はたまたは運か。

ともかく、依頼達成という最初の壁は無事に打ち破れたようである。

「うっ、痛っ……。ディオス残ってればな……。全部バディオスにしちゃったのは失敗だったかも。」

「つっても歩けるだろ。泣き言を言うな。」

「全部出し惜しみなしでいったからこそ勝てたのかもよ。仕方ないわ。」ホウタイクルクル

傷の応急手当を済ませ、改めて周囲の様子に目を向ける。

城内に巣食っていた野党は殲滅され、辺りは静寂に包まれていた。

先程まで鉄と鉄がぶつかり合う派手な音がこだましていたこの王の間も、主を失い再び眠りについたかのように静まり返っていた。

「さてと、お宝お宝っと。」

「それにしても汚いわね。もう少し考えて物を置けないのかしら。」

感傷に浸るでもなく、戦利品を漁り始めるリアリストたち。

あちこち物色している動きに合わせて舞い上がった埃が、崩れた天上から漏れる光でチラチラと舞った。

「うへっ、ゴホゴホ。」

「さすがは野党だ。モノを大切にしてないな!ほとんど何もないぜ。」

「あ、この帽子は使えそうね。野党が使ってた物なんて私はかぶりたくないけど。」

フィーネは骨だけになっているラックに引っかかっていた帽子をつまみ、ムーノへ投げてよこした。

軽く叩いて埃を落とすと、以外にもしっかりした造りで表面にはうっすらとツヤがある。

海賊たちには似合わないお洒落なデザインもなかなか趣があった。

「これは……逸品のようだな。」

「何かね、よさそうだよね。かっこいいし!鑑定が楽しみ!」

「あとは……これ?」


そしてもうひとつ、部屋の隅にあった棒状のものを拾い上げるフィーネ。

剣に見立てれば、柄に当たる部分は木製で簡素な造りである。刀身と思しき部分は金属でできているようだが、くすんでしまっておりよくわからない。

これまた海賊たちの興味を惹かなかったのか、乱雑に扱われていたようだ。表面の劣化が激しい。

「何だこりゃ?でっかいポッキーか何かか?いや、でも意外と重いな。」

「あ、それはね……。ムーノ、ちょっと貸して。」

プリエはムーノからそれを受け取ると、持ち手を回ししげしげと観察する。

しばらくそうしていたかと思うと、何かを思いついたような様子で手近にあったカーテンを毟り、軽く巻きつけてからグッと力を入れ引っ張った。

ズ、ズズッ……

「あ、ダメだこれ。錆びてる。」プルプル

「え?武器だったの?」

ズポッ

プリエが表面の汚れを拭って、ようやくそれが刀だということに気がついた。

ヒノモトという国由来の、侍や忍者が使用する接近戦用の剣である。

完全に錆びついていたようで、刀独特の波紋(刃紋)などの模様も見えず無残な有様だ。相当な年代物なのかもしれない。

だが、刀身自体はまだしっかりしているようで、軽く振ってみてもガタつきは見られない。

「へえ、それが刀ってやつか。お前よく知ってたな。」「えへへ……。一応、鍛冶屋の息子だからね。」

長さは小太刀や脇差しと言われるものに近いが、プリエが持つと立派な大刀に見える。

その様子が可愛らしくも見えたのか、ムーノは吹き出してしまった。

「なんかアレだな。おじいちゃんの大事にしてるやつ持ち出しちゃったぞ的な。」

「むむ、僕ぁ子供じゃないのだ。」

「でも意外と似合うじゃない?かっこいいわよ。」

「そ、そうかな?!」

「うわなにその反応……。やっぱ子供じゃん。」ボソッ

二人にからかわれつつも、満更でもない様子のプリエ。

生き延びて勝利の味を噛み締め、改めて冒険者になってよかったと実感する。

この、仲間からの祝福と戦利品の獲得こそが冒険者の醍醐味であり、生きている喜びそのものなのだ。

少なくともこの時点では、であるが……今はそれだけで十分だろう。

他にも何かお宝が眠っていないかと城内をあらかた探索するが、使えそうなものはなさそうだった。

3人は戦利品を携え、古城を後にした。



「お互い、恨み辛みもない、因縁もないのに戦うって、よく考えたら変なのかもしれないね。」

「どうしたのよ、急に。」

「ただ生きるために戦うってんなら、どの生き物も一緒でしょ?でもなんか、それとも違うのかなって。」

「依頼だから生きるためっていうのはあながち間違いじゃないとは思うけど。……そういうことを言いたいわけじゃなさそうね。」

「うん。最後のほうなんかさ、もうお互い意地になってるって感じだったから。終わってみたら急に考えちゃって……。」

「まぁた難しいこと考えてんな。」

古城での任務を終えファルミアへ帰還する道すがら、プリエは頭の中でモヤモヤとしていた気持ちを吐露していた。

これ以上無い泥仕合の末なんとか勝利を収めたものの、長時間お互いの意地と生命をぶつけ合ったため、プリエに何か思うところがあったようだ。

「戦争は狂気だってよく聞くから、言いたいことはわかるぜ?理論でも感情でもないのに平気で殺し合いをしちまうのは異常以外の何でもないもんな。」

「確かに、相手を斃してモノをぶんどってきた……。その事実だけ見れば、野党も私たちもやってることは同じよね。」

コクリと頷き、二人の言葉に耳を傾ける。

「どちらも生きるためにやったこと。でもそのふたつは違う……いいえ、違ってほしいと願っている。」

その言い回しに、思わずハッとするプリエ。

「それって……。」

何かを思いついたように口を開こうとするが、フィーネが話を続けた。

「正義、道徳、倫理……いろんな言葉はあるけれど、私はもっとシンプルなものだと思う。そうね……自分のためだけじゃなく、他の誰かのために生きられるかってことかしら。」

「俺は信念……ってとこかな。自分の納得のいくよう、常に正しいところへ向かって行きたいもんだ。」キリリッ

「そっか……。そっかあ!僕は、僕はね……!」

精一杯の自分の言葉を吐き出し、お互いの顔を見合わせる。

それと同時に、三人とも笑いだしていた。

格好つけすぎたこともそうだが、皆が皆真面目な顔で腹の中を見せあった……そんな気がしたからだ。

嬉しいのか可笑しいのか、どちらなのかもわからなかったが、息が切れるほどにお互い笑いあった。

ファルミアの町が見えてくるまで、三人は子供のように軽い足ではしゃいでいた……。



〜ファルミア・酒場〜

「海賊がいっぱいいました!」

「……は?」





解説



ガリアンキャプテン

ガリアンガード.png

出典:Legacy of Llylgamyn

ちょっと強い海賊よりちょっと強い海賊のはずが数値上ではちょっと強い海賊より弱い。つまりよくわからない。海賊っていうか拳王親衛隊。こいつもよく逃げるので全然強さがわからない。ターバンの下は多分ハゲ。



フェザーハット

フェザーハット.png

命中値に補正あり。誰でも装備できる。便利。おやびんの思い違いで本来出るはずのないランクのアイテムです。サーセン



小太刀

小太刀.png

錆びてないデータ。
posted by おやびん at 01:28| Comment(2) | TrackBack(0) | TRPG

2017年05月11日

MJNN 真打ち登場

Amazonで頼んでいたMJNN、届いちゃったぜ、出会っちゃったぜ!

This is fate! WOW!!



terh.png

ギャアアアアアアアアアアアアン!!



IMG_20170511_191145.jpg

デデン!!


我らがダイヤさnキャアアアかわいいいいいいいいい












キャアアアアアアアア

FOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOO



かわいい!!

ルビィちゃんのときも衝撃だったけどこのダイヤさんはとんでもなくかわいいぞ!!

ムフ……ムフフ///

ハア

ハア///



いや、落ち着け、おやびんよ。硬派で通してきた無法地帯にオッサンが奇声を上げなが痛々しい姿を垂れ流すなどあってはならぬ。

ちゃあんと真面目なレビューを行おうではないか。



IMG_20170511_233756.jpg

個体差なのかもしれないが、顔の形がとても端正。かわいい。

特にアゴの周りがとても丁寧でかわいい。(かわいい)

他の寝そべりは綿の詰め方が適当でデコボコした顔面だが、ダイヤさんはちゃんと顔の形になっている。かわいい。

かわいい。



IMG_20170511_191259.jpg

黒髪と制服の灰色がマッチしており他の寝そべりよりも見栄えがよい。かわいい。

かわいい。



IMG_20170511_214757.jpg

3人の妹に囲まれご満悦のダイヤさん。かわいい。

しかしフフ……いよいよ置く場所に困り始めてきたぜ。

ぬいぐるみ4体と一緒に寝るオッサン……。ちょっと笑えないくらいキモいが仕方がない。

一度寝そべりの沼に足を捕られたが最後、ズブズブと深みにはまっていくしかないのだ。





ウボアー
posted by おやびん at 23:53| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記
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